マルケ州ワイナリー『Le Caniette/レ・カニエッテ』へ

フィレンツェからやって来たソムリエカップルと巡るマルケ州のワイナリーシリーズ第2弾。第1弾の『Sartarelli』編はコチラから。また1週間以上日があいてからの投稿です。忘れないように早く早く!と思いながら、もうこんなに日が経っていて「そりゃ、年を取るのも早くなるわ」と納得です…。 さて、気を取り直して本題です! このカンティーナ(ワイナリー)、マルケ州の最南部のアスコリピチェーノ県に位置します。もう少し南側はすぐにアブルッツォ州。アドリア海から少し内陸部にこのカンティーナは位置しますが、写真の通り高台に位置し、その為アドリア海も望むことが出来ます。この地勢が美味しいワイン、いや、マルケ州独特のワインを産む秘密なんでしょうね。ただ、このエリアになるとヴェルディッキオは栽培されておらず、白ブドウの品種はもっぱら、ペコリーノとパッセリーナなどになります。こちらのワイナリー探訪を所望したのはわがパートナー。美味しいと有名で、確かに私も何度か彼らの受賞したワインを頂戴したことはあります。でも、実際あまり味を覚えていなくて、エチケットの印象のみ。そのエチケットもあとからご紹介いたします。
 
さて、試飲の前にはお決まりのカンティーナ内探訪。
ひょえ!樽だらけ!大きな二部屋を見学できるのですが、おなじみのステンレスタンクなどは見受けられず、全て木樽が配されています。「山の傾斜に堀り込む形で造っているから涼しんだよ」とのこと。確かに涼しい。それにしても、生産量がそれほど多くないと聞いていましたが、その割合としてこの樽の量は多すぎない?と不思議に思っちゃうほど。でもよくわかりました。フレッシュさが決め手の白ブドウ品種、ペコリーノにも樽熟成をしたりするんです。なるほどね~。
試飲スペースとなるのはこちらのサーラ(部屋)。前面がガラス張りで、最初写真の風景を楽しめます。室内の調度品もオシャレですね。どんなワインがいただけるのかワクワク。
この日、私たちを3時間にわたってガイドしてくださったのは、こちらのカンティーナのオーナーさんの一人、Ginoさん。ご兄弟で運営されているらしいです。Ginoさんは基本は畑の管理が主。土曜日にもかかわらず、3時間も我々にお付き合いくださって本当に感謝です。途中、奥様から「私らこれから海に行くから」なんて電話も受けてらっしゃりました。彼の説明はとっても丁寧。でもコマーシャルな感じは全くなく、作り手として実直にわかりやすくお話しくださった姿が印象的でした。本当に、ワイン、そしてカンティーナは「人」が作るものですよね。美味しさの印象も、その対応一つで全く変わります。どんな仕事、事象でもこれは根本として変わらずあるものでしょうね。

試飲1つめ。Lucrezia  GP Passerina 2016
100%パッセリーナを使った白ワイン。こちらは樽は利用せずステンレスタンクのみでの精製。香りはお花やフルーツの香りがはっきりと感じられ、味わいも華やか。さらっと簡単に飲めちゃう白ワインかと思っていましたが、味わいも豊か。
2つ目は  Veronica  DOCG OFFIDA Pecorino
ペコリーノ100%。こちらもまたペコリーノが持つ個性をしっかりと感じます。ちょっとトロピカルな黄桃やパンションフルーツの感じ、酸味も綺麗で飲みごしよし。7ヶ月の瓶熟成、フィルターせずに澱も一緒に瓶詰めしているとか。
因みに、こちらのワイナリーのブドウはBIO認定を受けています。自然の力をしっかりため込んだ味になっている!と実感。

そしてそして3本目、4本目は、嬉しい驚きがあった DOCG OFFIDA PECORINO「IO SONO GAIA」。私はGAIAよ。という意味のワインなのですが、なぜにこの名前かと言いますと、先の二本の白ワイン、どちらも娘さんのお名前らしいんです。でも、まだお一人名前がワインになってらっしゃらない娘さん,GAIAさんがいらしゃり、その彼女の名前を一番新しくできたワインに、彼女が小さい時に描いた絵をエチケットにして付けたんだとか。確かに、このエチケットは個性的ですよね。そして、味わいも個性的。それもそのはず、こちらが件の1年間の樽熟成をきかせたペコリーノワイン。味わいに丸みを帯び、かなりスモーキーな雰囲気が漂います。ヴァニラ香ですね。さわやかさは薄れもったりまったりとした感じに。「これって、もっと待って(熟成させて)から飲んでみたらどうなるの?」と2015年モノ(写真左)を戴いてからGinoに素朴に質問をしたら、なんと特別に2010年のヴィンテージも試飲させてくださいました! それが写真右。色が全然違いますよね。これほど変わるものなのか。。。とびっくり。味わいも驚くほどにまろやか。しっかりと感じていたバニラ感がやらかく、何のひっかかりもなく口の中を通っていく素敵な味わいです。これは嬉しい発見でした。

 はい、それでは5本目。やっと赤。
ROSS BELLO
DOC PICENO サンジョベーゼ50% モンテプルチアーノ50% うーんなんでもとっても美味しいんです。まず一つ目は香りが高い。この日は猛暑だったのに、こんなに赤ワインが美味しく感じるとは…。酸味を感じ、赤い小さな木の実の香り、味わいもブルーペリーやラズベリーの酸味の利いた甘さがあります。こちらはステンレスもしくはセメント樽のみでを使って醸造されています。

 
6本目は MORELLONE DOC PICENO 70%モンテプルチアーノ 30%サンジョベーゼ  2年間の樽熟成を経て、モンテプルチアーノ多め。しっかりした味わい、ボディ、余韻、まろやかさUP。
7本目 Nero di Vite(ぶどう畑の黒)サンジョベーゼ50% モンテプルチアーノ50%  お値段がちょっと上がります(笑) こちらは、新樽を使って3年間の熟成を利かせたもの。このクラスに来ると味わいもかなり変わってきます。このワインだけを噛んで飲みたい。ブルーベリーや黒い果実をじっくり煮込んだような甘さ、でも酸味もうっすらとあり、タンニンも綺麗に感じることでき、余韻ももちろん長い。チョコレートの苦みや、野菜の持つ青苦い味わいも感じられます。

そして、最後の1本はこちら。Marche Rosso IGT Cinabro。 Bordò 100%。
このクラスのワインはなかなかマルケ州では出会わない逸品。Bordòと呼ばれる品種で、クローンはグルナッシュ(実際のところ、いまだちゃんとは解明されていないとか)、こちらを100%利用です。因みにフランスは全く関係ありません。
30ヶ月、115lというミニ木樽で熟成、その後瓶詰めし、最低6ヶ月間の熟成を経てリリースされます。Ginoさん、このワインを試飲するために特別なワイングラスを用意してくださいました。グルナッシュってこんなんでした?(私のイメージは甘さとタンニン)というような、スパイス感。甘さはありますが、今までの経験のある、ねっとりした甘さというよりも、サラッとした果実感の甘さです。タンニンはほどよく柔らかくなり、余韻が長い…。これはもったいなくて残さず全部いただきました。そして、我が家にも1本お持ち帰りさせていただきました。恐らく、勿体なさ過ぎて何年も飲まずに大事に温存されている事でしょう…。
こちらのこのBordòを使ったワインは、このエリアの少数の生産者で大事に造られているシリーズだそうです。マルケ州で知らない人はいないであろうカンティーナ『Oasi Degli Angeli』もこのうちの一カンティーナだそうですよ。 こちらのLuciano Pignataroさんのブログに紹介されていました。
 Grazie a http://www.lucianopignataro.it/

我が家から車で1時間程度の場所。それだけの距離なのに、全く異なる性質、味わいを持つ異品種のワインが楽しめます。そして、この近くにも数多くの素晴らしい作り手さんがいらっしゃります。まだまだ訪れてみなくてはいけないワイナリーがいっぱいあります。
「試飲したワイン全てを、『美味しい』って思うことってなかなかないよね」フィレンツェの友人(女性)がふともらした言葉です。私もとても共感しました。味わいは好みですので、美味しいと表現するのはソムリエとしては失格だ、と言われたこともありますが、少なくとも私達は大満足なデグスタッツィオーネになりました。(男性二人に関しては、購入したワインの量がそれを物語ってております。”大きな”なお買い物も終え、大満足。気持ちも大きくなったところで、最後にみんなで記念写真。ほんとよく飲んだし、よく買った(笑) 自宅の近所では買えないから良しとしましょう!

こちらのカンティーナへのご同行など、ぜひご連絡下さいね!3名様まででしたら自家用車で、4名以上様でしたらハイヤーでお供いたします。お気軽にお問い合わせください。

2017年7月18日
丹羽淳子

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カンティーナ名 Le Caniette レカニエッテ
HP http://www.lecaniette.it
住所 C.da Canali, 23 63065 Ripatransone (AP)
問合せ  info@lecaniette.it
電話  +39 0735 9200
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遺跡の街で葡萄と水牛を育むカンティーナ『San Salvatore 1988』へ

イタリア周遊・弾丸6泊7日の旅で伺ったカンティーナさんの備忘録的ブログです。思い起こせば度に出たのはもう1ヶ月以上前のこと。
今回ご紹介するこちらのカンティーナさんは、4つ廻る予定の中で1番最初に訪れた場所になります。
記憶はちゃんとあるのですが、いかんせん手持ちの写真が1枚もありません。
旅のご同行者の皆様の写真をお借りし、雰囲気だけでもお伝えさせて頂きます。
カンティーナのHPアドレスはこちらです。
http://www.sansalvatore1988.it/


Grazie al sito di San Salvatore 1988

今回、私たちがまず最初に向かったのはカンティーナ(ワインの製造所)があるエリアです。彼らのぶどう畑のすぐ近くに新しいカンティーナはありますが、このぶどう畑、本当に絶景ですよね。海からの20㎞ほどの距離で、ぶどう達は潮風の影響を受けるとおっしゃっていました。まるでマルケ州のようですね。この写真を見てお分かりいただけるように、なだらかな丘の向こう側にすぐそびえ立つ山。この山が海風を遮り、また、山からは冷たい風が降りてくる、独特な気候を彼らの畑にもたらしていることが図りとれます。
私たちが拝見した畑があるのは、Paestum遺跡の近く。こんなに立派な遺跡がこんな場所にあるとは全く知りませんでした。
イタリア、見る所が多すぎます。メジャーな場所だけでも回りきれないのに、メジャーじゃなくてもこんなに偉大なモノがあるなんて…。もちろん世界遺産です。保存状態というよりも、野ざらしですが巨大です。歴史好きな方にはたまらないでしょうね。

こちらがモッツァレラチーズの素となる、お乳を生み出してくれる水牛達。
確か、数百頭が暮らしています。
お乳が出なくなった乳牛は、食用に廻るとか。
自然に開け放たれた牛舎で、土を踏みしめ、自由に遊べる場所もあるので、牛さんも楽に過ごせるかな?そして、もちろんBGMはクラッシック。本当にクラッシクをかけるべきなのかどうか、ちょっと疑問ではあります…。特に音楽がなくても周りがとっても自然なので。

さて、お待ちかねのワインのデグスタッツィオーネです。
今回はお昼ごはんと一緒にお味見をということで、彼らが経営するお店 La Dispensaにお伺いしました。

https://www.facebook.com/ladispensa1988/

画像に含まれている可能性があるもの:座ってる(複数の人)、テーブル、室内
お店の雰囲気はこのような感じです。FBから頂きました。お食事を戴く空間は半外です。簡易な仕切りで区切られたエリア。非常にあかるく開放感があります。雨にも当たらず、囲いもありますが、イメージは戸外で食事をしている感じ。La Dispennsa という名前通り、レストラン前にはワインは勿論、モッツァレラチーズやパン、ドルチェなどを持ち帰り用で購入できるショップスペースも。

 

お待ちかねのデグスタッツィオーネを担当してくれたのは、Mario氏。ありがとううございます。
今回戴いたワインは5種類。
PALINURO (フィアーノ・グレコ・ファランギーナの三種混醸)
TRENTENARE (フィアーノ100%)
CERAZO(アリアニコ100% ステンレスタンク熟成)
JIUNGANO (アリアニコ100% 大樽と小樽を使った木樽での1年間熟成)
GILLO DORFLES (アリアニコ100% 25ヶ月の新樽熟成)

一番最初に戴いた、PALINUROは3種類のぶどうのブレンドとあって、香りは高く、味わいは軽やかにフルーツ感あり。日本ではかなり好かれる味わいじゃないかしら?と感じます。TRENETENAREはフィアーノ100%ですが、苦味が控えめでこちらもスッキリとやわらかい味わい。この1本を家におみやげとして持ち帰ったのですが、「Fiano di Avellinoとは全然違う」というのが、我が家のもうひとりのソムリエの意見でした。
アリアニコも、どれも本当にキレイな味わい。透き通っています。力強さももちろんあります。野生っぽさは殆ど無いですね。恐らくこちらのカンティーナさんの表現しいワインの方向性なのでしょう。
もちろん、こちらが作った朝どりモッツァレラチーズも!リコッタチーズも水牛のお乳で作ったものなので、普段のやぎのリコッタよりも食べやすい。何でも新鮮なものを戴くのは幸せで美味しいですよね。モッツァレラチーズの優秀な所は、白ワインでも軽めの赤ワインでも合わせられるところじゃないかしら…? 因みに燻製タイプも有りましたが、こちらならちょっと樽を効かせたワインでも合いますよね。

カンティーナでは、ワインの製造ラインを説明してただく方、畑を説明してただく方、そして水牛の飼育ついて説明していただく方、そして食事ではマリオさんや他のカメリエーレの皆さんに大変お世話になりました。食事も美味しいし、お土産もいっぱい帰るし、何と言ってもアマルフィ海岸やパエストゥムにも近いので、ぜひ、旅の一過程入れて欲しいカンティーナとお店です。

お写真は旅の同行者のN様、そして旅の主催者であるVineria Bravuraさんのブログよりお借りしました。ありがとうございます。
Vineria Bravuraさんのブログはこちらから。

2017年7月14日
丹羽淳子

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カンティーナ名 Azienda Agricola San Salvatore 1988
HP http://www.sansalvatore1988.it/
住所 sede legale contrada Zerrilli 84075 Stio (Sa)
Parco Nazionale del Cilento
問合せ   info@sansalvatore1988.it
電話  +39 0828 1990900
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マルケ州ワイナリー『Sartarelli/サルタレッリ』へ


フィレンツェからソムリエの友人カップルが遊びに来てくれた7月2週目。マルケ州土着品種の白ブドウ「Verdicchio / ヴェルディッキオ」が好きな友人が自ら予約をしてくれたカンティーナ(ワイナリー)がこちらの『Sartarelli/サルタレッリ』でした。たまたま私も年始の偉大なマルケワイン試飲会で(ブログはこちらです)、このカンティーナのオーナーであるPatrizio 氏と知り合い、カンティーナ訪問を勧められていたので渡りに船で私も同行させていただくことに。
カンティーナがある場所は、ヴェルディッキオ デイ カステッリ ディ イエージが生産される中心地です。この場所はアドリア海から約20Km ほど内陸に位置し、なだらかな丘にぶどう生産者の畑が広がります。この海風がぶどうに独特の風味を与えるとのこと。

7月頭という事にもあり、ひまわり畑も美しいですね。そして、この左側の写真の真ん中にチョコンと見えるのが、ロッソコーネロの生産地となるコーネロ山です。マルケ州のワインにはアドリア海から受ける影響が大きいです。

こちらのカンティーナで作られるワインはすべてがVerdicchio。また、ワインの醸造には木樽は全く使われず、ステンレス樽のみになります。この日はたまたま日本向けのワイン出荷の準備中。裏エチケットにもしっかりと日本語表記があります。Sartarelli社は日本でもよく知られるVerdicchioワインメーカノーの一つだと思います。私もイタリアに住む前から知っていました。もちろんこのエリアを代表するワイナリーの一つであることは間違いなく、私たちが訪れた本当に少し前に、堂々と立派な新しい社屋が完成したばかりとのこと!
テイスティングルームからの眺めも抜群!
経営自体はとてもファミリーな感じなのに、すごいです。
実際、この日、私たちの訪問を迎えてくれたのはオーナー婦人、そして案内をしてくれたのはオーナーの息子さんにあたるトンマーゾ氏。娘さんはエキスポートを担当されていて、この日は国外にいらっしゃったとか。有名なカンティーナなのに、完全に家族経営でらっしゃってちょっと驚きです。

 

 

 

 

 

さて、こちらが件のトンマーゾ氏。しゅっとしてはります。カンティーナで、シャツを着用されている方なんて、初めて見たかも(笑)
彼らの作る3種類のFermo、1種類のスプマンテ、1種類のパッシートを今回はいただきました。カンティーナのVisitaと、ワインテイスティングも込みで一人5ユーロとのこと。ただし、ある程度の本数のワインを購入すると、この料金は割り引いてもらえます。マルケ州でカンティーナ巡りをしていて思うことは、本当にどこのカンティーナも「スプマンテ」を作り出しているという事。ヴェルディッキオのスプマンテ、本当に数多くつくられていて、彼らも2010年ころから作り出しているそうです。度数も12パーセント程度で、軽やかな仕上がりでした。

こちらがバーゼ(基本)となるClassico。上質な造り手を感じる癖のない綺麗な味わいです。トンマーゾ氏曰く、一番特徴的なのが、このあたりのヴェルディッキオはアーモンドの香りを感じる事。確かに、ちょっとだけもったりとしたナッツの様な感じはありますね。白ワインなのに面白い重さです。4本目に戴いたのがこちらのBalciana。

Balnaccia とはこのワインに使われるぶどうが育つ谷の名前が由来です。北向きの畑で、そのため成熟するのが非常に遅く、11月中旬ごろだそうです。因みに普通のVerdecchioは9月中旬頃が収穫期。2ヶ月も遅くに収穫するんですね。味わいは驚くほど濃厚。そもそもの品種自体の重さに、なんとも言えないまろやかさが相まった他ではあまりいただけない不思議なバランスです。ぶどうの選定も念入りにされていて、出来が良くない年に関しては生産をしないとのこと。じっくり熟成して楽しむこともできます。カンティーナ価格でClassicoよりも3倍以上の価格! 日本でもなかなか良いお値段で販売されているようです(私はこちらを一本だけ購入しました。熟成させていただきます!)
最後はPassito. 熟しきった葡萄を使って作られる甘口ワインです。ドルチェと一緒や、チーズなどと一緒に戴く食後用のワイン。
想像通りの美味しさ。
確かに甘いです。非常に甘さは感じますが、Verdicchioの持つ力強い酸味がうまく作用し、程よいドルチェワインに仕上がっています。小さなグラスで少し戴くのにはちょうど良い美味しさ。日本の方にも喜んでいただけそうです。

独自のワインづくりを目指して、いわゆる国際品種ワインと言われるぶどう品種を栽培し、数多くのエチケットをラインナップするカンティーナが多い中、Verdicchio種のワインだけで今の地位を得られていて、このエリアのワイン造りや生産者の代表の一社としてがんばっていらっしゃるSartarelli社のワイン、日本でもTerravert さんが輸入されていらっしゃるので、ぜひ召し上がってみて下さい。

トンマーゾ氏と一緒に訪れたフィレンツェ在住のソムリエである友人と共に。

2017年7月10日
丹羽淳子

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カンティーナ名 Sartarelli サルタレッリ
HP http://www.sartarelli.it/
住所 Via Coste del Molino, 24 60030 Poggio San Marcello
問合せ   contact@sartarelli.it
電話  (+39)0731.89732
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AISマルケ主宰のワインの”香り”の勉強会へ

素晴らしい晴天に恵まれた4月30日。日曜日にもかかわらず、朝は6時台に起床し、マルケ州中部に位置する街”Fabriano ファブリアーノ”まで行ってまいりました。
Fabriano に来るのは今回が初めて。アペニン山脈のふもと、350mほどの位置にあり、世界的に有名な製紙会社ファブリアーノがある街として有名で、少し前までは多くの企業の工場が集積していたとか。ここも他の街と同様、経済危機後はその企業も多くが撤退してしまい、以前の活気はなくなってしまったそう。(実際、イタリア中こんな話しばかりで、マルケ州内各地で数多くの”空き/売り工場”を目にします)
Centro の街並み。9時過ぎですが、人影はまばら。
開いているカフェも、広場の1軒のみでした。この赤土のレンガの色と、建物のフォルム、朝の空気と青い空の美しいこと…。まさに、すぐそこにある生きた芸術です。
  

そんな街をあとにして、早速、勉強会会場のHotel Gentileへ。

なぜ今日はわざわざここでこの勉強会が開かれるのか?と言うと、このホテルの”王様”と呼ばれる(パートナーの話ではオーナーであるそうですが)料理長のDomenico Balducci氏がAIS マルケ支部のトップなのです。
左のコックコートの氏がDomenico氏。巨漢です。毎度見るたびに「なんであんなに…?」と不思議だったのですが、シェフだと聞いて納得しました。写真右側に写るのがGiorgio Rinaldi氏。本日の講師役の為にわざわざロンバルディアのコモ地方からやってこられたそうです。前日に到着され、その日はこのホテルでたらふくのDomenico氏のお料理を堪能されたそうで、まだ「食べ過ぎた感」が残っているとおっしゃっていました。
 さて、今日の勉強会はいつもと趣向が違い「ワインのニュアンスと観点を試飲する」という難度の高い内容になっています。そのせいか参加者はほぼAISマルケ支部のお偉方ばかり。ワインもこの会に合わせて海外のものも取り入れられており、参加費がちょっと高めの設定で一人60 euro(AIS会員)、そのためか参加者もぐっと少なく30人程度でした。
ワインを理解し、評価するためには、勉強し、分析し、表現し、確定する。そして、ぶどうの品種とその領土にについてのつながりを考えることが必要。
まさにその通り。だから面白いのがワインなのですよね。
おなじクローンを持つぶどうが使われているのに、味わいや香り、色調が全くことなるのはなぜなのか? おなじぶどう品種を使っていたとしても、地質や気候、作り手の手法ひとつで、全く違うものになってしまうワイン。そんな味わいの差ができるのか?専門的な科学用語も交えて”ニュアンス”が生み出される仕組みをGiorgio Rinaldi先生が丁寧に説明してくださいました。
味わいではなく、ニュアンス(感覚)的に覚えるものが生まれる謎の解明です。
どうしてワインがここまで全世界の人を魅了して止まないのか?この正確に創出し得ないニュアンスの妙だな、と確信した次第です。
二時間以上の講義の後はやっとで試飲。6種類+1種類(Giorgio先生サプライズ)。
〇1本目〇 シャンパーニュ
R&L Regras, Champagne Grand Cru blanc de blanc
シャルドネ100%
コートブランエリアのグランクリュシャンパン。ニュアンスはシャンパン特有の”焼いたパンの香り”。泡は驚くほどきめ細かく、持続性はとても長い。泡系のワインは、泡がパンとはじけるごとにその香りを放出させるので、グラスのスワリングは必要ありません。それにしてもこのシャンパーニュ、泡の数が多いためグラスからこぼれるほどの素晴らしい香り。さわやかなキレのある香よりも、香ばしい豊潤なニュアンスです。

〇2本目〇ドイツの白
Markus Molitor Riesling QBA Alte Reben
リースリング100%
イタリアではあまり口にできない品種のリースリング。日本時代のワインバーではほぼ毎日戴いておりました。ただ、甘口仕様でしたが。モーゼル地方のワイナリーとのこと。リースリングは酸味とフルーティさ、果実感なんてイメージがありましたが、これは最初のインパクトはミカンの皮の香り。確かに果実の香りですが、あの特有のテカリを出すためのオイルの香りが混じっているような雰囲気もあります。ペトロ―ル香ですね。あとはシャルドネで感じられる火打石の香りも。不思議。

〇3本目〇
Oi Nì Fiano di Avellino  IGP Tenuta Scuotto
2013年 14.5%
グラスに注がれ、スワリングをするも、香りがかるくあがってくる。ただ、その香りがパッションフルーツや黄色い花など、ちょっとねとっとしたニュアンスをまとっている。味わいも重くしっとりとからみつくような濃密さを感じるもの。テイスティングの後、10分後程度に再度グラスに顔を近づけると、まるで南の楽園かのような満載なフルーツ香。酸素にふれることによって、開いていく香りの存在です。木樽に酵母を入れて熟成させ、独特な風合いを醸し出させているとのこと。

〇4本目〇
Langhe Rosso IGT 2011 ROAGNA
日本でもよく見るエチケット、ROAGNA。彼らのワインを戴くのは初めてでしたのでとっても楽しみにしておりました。Nebbiolo 100%。ジャムや熟したイチゴ、森のフルーツなどまったりしたニュアンスが感じられます。香りにあまり気取った感じはなく、まだ荒い雰囲気。ROAGNAのワイン生産ポリシーをブログ記事で拝見すると、この彼らのワインの香り(味わいも)、非常に理解できます。2011年なんてまだまだ若い。タンニンがまだ荒くて、もっと時間をかけて丸みを帯びていくんだろうな、というイメージ。それにしても力強い!

〇5本目〇
Chanti Classico Castell’ in Villa
2011  14 %
マルケ州に住みだして初めてかもしれません、Toscana の Chianti を戴くのは…。もともとあまりChantiが好きでは無くて手に取る機会が少なかったのですが、このCastell’ in Villaはなかなか秀逸。香りもかなり複雑で果実香、スミレや、スパイス香、野菜のような香りなど。味わいもバランスがとてもよくて、前のROAGNAに比べるとタンニンのおさまりがとてもきれい。これがサンジョヴェーゼの個性なのかも。口の中で広がる果実感をゆっくり鎮めるタンニンが良い感じです。

〇6本目〇
Castelnau de sudriraut,Souternes
2009 14.5%
最後はフランスのソーテルヌから。貴腐ワイン。セミヨンとソーヴィニヨンブラン。香りを大して覚えていない…なんでだろう? 粘性はもちろん高かった。味わいは酸がなかなか綺麗に入っていて、甘さもamabile。甘口というよりも、良い感じの甘さとの印象。口に含んだときに甘さより酸のニュアンスを受け取ったので、あとから来た甘さに対応できたような感じもします。シャトーディケムの畑の隣りに彼らの畑はあるそうです。道1本たがえれば、全く味わいは異なるものになるのは理解しております…。

試飲時にワインの細かい講釈はまったく無く、香り、味わい、自分で自分の感性を研ぎ澄ませていく勉強の場。特徴的なニュアンスを持つワインを6種類いただき、ぶどう品種 × 土地 × 作り手 × 他いろいろ から作り出させる感じの差をしっかりと理解することが出来ました。

勉強会後は、AISマルケ トップのDomenico氏が監修するランチブッフェ。3種類のサラミや、フォッサチーズ、ラザニアやピンチネッレ、子牛肉のグリルなど、山盛り戴いて参りました。食事の写真は食べることに夢中で忘れました。円卓で初めて席を一緒にする方ばかりでしたが、日本についてたくさん質問を戴き、勉強後のリラックスした雰囲気で楽しく食事を戴くことが出来ました。
そう…試飲会はこの”食事”も楽しみの一つなんですよね。なんといっても、ちょっとエリアが変わるだけで郷土料理が変わるのが面白い。イタリアの食が魅力的な理由の一つですね。
2017年5月2日
丹羽淳子 にわあつこ Atsuko Niwa   /  Sommelier di AIS

マルケ州ワイナリー『Tenute MURÓLA/ テヌーテ ムローラ』へ

 

4月15日、土曜日。
16日がパスクアということで、家族でのランチで戴くワイン購入をもくろみ、ピチェーノにあるカンティーナ『Tenute MURÓLA』に行ってきました。お昼ご飯を食べた後、軽く休憩を取り早めにアンコーナの自宅を出発!が、途中、アウトストラーダ(高速道路)上で車から異音が…。幸い目指していた出口に近い場所だったので、ハザードランプをたきながら料金所外へ移動し前方左車輪がパンクしている事を確認。パートナー汗だくになりながらもスペアタイヤの交換を完了させ、カンティーナを目指し再出発したのが夕方18時前…。どうなることかと不安になりながらも、営業終了時間19時前に少し余裕をもってマチェラータ・Urbisagliaにある彼らのもとに到着し、ワインの試飲を愉しむことができました。

『Tenute MURÓLA』の名前を私が聞いたのは去年にあたる2016年秋。マルケ州とAISが監修するワインガイドで、彼らの『JUREK』が、マルケ州でのメトド・クラシコ製法によるスプマンテとして、州を代表するワインに選定されたのがきっかけです。 最近、このエリアで注目されつつあるぶどう品種”RIBONA”を使い、さわやかさ、キレ、苦みを残しながらも、まろやかな仕上がりのスプマンテ。この『JUREK』、AISイタリアが毎年発行するワインガイドの2017年版でも最高の評価 4 viti AIS を受賞し、フェルモワインでも為しえなかった”Ribona” (現地ではMaceratinoと呼ばれてもいます)品種での最高評価受賞という快挙を成し遂げました。
マルケの多くの造り手はスプマンテを醸造するのには特別な機材が必要なため、ヴェネト州などのスプマンテ生産が盛んなエリアに葡萄を持ち込んで製品化するらしいですが、彼らは自分たちのカンティーナでその機材とノウハウをそろえマルケ州内で製造しているということ。はっきり言って、これはすごい資金力!

資金力のすごさはこの外観からも…。写真の撮り方がいまいちですが、「え、ここはスーパータスカン生産地?」と見まごうかのようなエントランスのアプローチ。
このカンティーナは300年以上前からこの地に続くポーランド系一家が、本業(電気関係のお仕事だとか。恐らくとてつもなく大きな大きな企業)の傍ら、自分たち家族のワインにかける情熱を形にしたものとのことで、事業としてワインの製造・販売を始めたのはまだ最近の事とのこと。なので、見るものすべてが新しく、びっくりするほどモダンでセンスのあるものばかり。

写真左は、受付・精算カウンター奥にある量り売りワインコーナー。こんなにかっこよいあつらえ、みたことありません! 社名板もワインのディスプレイもまるで美術館か?と見まごうような仕様。
 「今日は外国人のお客様がひっきりなしで超疲れた」と言う、販売取引担当のアンナさんに簡単に館内を案内してもらうも、なにもかもどこもかしこもがピッカピカ。「情熱だけで作ったの」なんてことだけでは済まされない、外国人客やインポーターさんにはぐっと印象深くのこるであろう、最高レベルのプレゼンテーションに圧巻されっぱなしでした。試飲スペースだけでも、数カ所あったかしら? こんなに豪勢なカンティーナが近所にあったことに、本当に驚きが隠せません。

 

左は、なんとご先祖様とナポレオンが一緒に描かれたもの。ご先祖様は本職の関係でナポレオン軍の一行と行動を共にしていたらしいです。右側は壁面全面に描かれたワインに関する重要な書籍の背表紙。全く知らない物ばかりでしたが、「有名すぎるものばかりだから、ソムリエのあなた達なら知っている物ばかりよね」と仰っておられました…。イタリア語わからないふりで乗り切る。
そんなこんなで感嘆の辞を述べながら15分程度でざっと館内を見学。
いよいよ試飲の開始です。
このカンティーナでは、有料で、10e:スタンダードタイプ、12e:土着品種タイプ、15e:エレガントタイプ、と3種類の試飲コースが用意されており、私たちは悩んだあげく、土着品種タイプを選択しました。

VITIGE』Verdecchio di Matelica D.O.C.G 2015
香りはメロンやパイナップルのちょっと熟れた南国フルーツの雰囲気もあり、さわやか感あり。口に含んだ瞬間、華やかさが広がるが、ヴェルデッキオの骨太感はあまりなく、かなりまろやか。もともと、この地が海だったということで土壌にはミネラル分がたっぷりと含まれており、ワインもミネラル感があふれることが多いけど、このVITIGEはミネラル感もかなり抑えめ。飲み始めから最後の余韻まで、控えめなミネラル感の主張を感じるコンパクトに綺麗にまとまっていました。

 

AGAR』COLLI MACERATESI DOC RIBONA 2015
初めてか、、、それとも前に飲んだことがあるか?マルケ州の土着品種”RIBONA”リボーナ。みずみずしく白い花の香りを強く感じます。味わいは、おおお、苦い。いや、苦みがふわふわしている感じ。ほとばしる苦みではなく、口の中にぼわっと広がる苦みが感じられます。飲み口は軽やかですが、この苦みは夏にキンキンに冷やしてちょっと脂身のある魚のマリネ料理なんかと一緒に戴きたい。ミネラル感と、あと、すこし草的な青い感じも。裏をかかないシンプルさが特徴的。パートナー的には「かなり良い感じでできているRIBONA」とのこと。


ORBESALLIA』Rosso Piceno DOC 2015
試飲最後のROSSO PICENOはモンテプルチアーノとサンジョベーゼ。色はきれいなルビー色で、縁は少し褐色した感じ。味わいにはかなり若々しさを感じるフレッシュなインパクトがありながらも、最後はきれいにタンニンが広がります。モンテプルチアーノの持つブルーベリーやブラックベリーの甘重いフルーツ感はサラリと集約されている感じ。ガッツリお肉料理に、というより、お肉を使ったパスタ料理やラザニアなんかに良く合いそうな味わいでした。

テイスティングのおともに、と提供戴いたサラミ類とチーズ。「豚は私たちが飼っているの。彼らの肉を使って作っているものなの。保存料を使っていないからすぐ変色しちゃうけど、味は良いわよ」とアンナさん。
そう、、、イタリアのワイナリーで試飲をする場合、有償なら必ずと言ってよいほどサーブされるこの「おつまみセット」。日本でならこの一皿だけで数千円はするんじゃないか?とう代物。二種類のハム、チーズと山盛りでしたが、素晴らしい味わいにもちろん完食…。そう、このハムがRosso Picenoに良く合いました。

余談ですが、テイスティングを終えた後ワインを数本購入したら、ワインテイスティング費用二人分はサービスしてくださいました。驚き!もちろん、浮いたお金でもう2本『JUREK』を購入したのは言うまでもありません。

私たちがテイスティングを行った部屋は、ゆったりとした応接室スタイルで、室内には、彼らの家族の歴史を物語る写真が何枚か展示されていました。
設立にファミリーの5人が代表になっているとか。多いですよね兄弟や親族で世襲しているパターン。もめないのかな?なんてゴシップ想像をすぐにしてしまいます。
お恥ずかしい話しですが、この『Tenute MURÓLA』のワイン、日本にいるときに拝見したことは無かったのですが、デイリーユースな価格帯のワインは輸入されているようですね。モンテプルチアーノ100%の『TEODRO』2016年のSakura Awardも受賞していました。
私としては、マルケ州のワインづくりの力を世界中に知ってもらうためにも、彼らのつくるメトドクラシコ製法のスプマンテ『JUREK』が、早く全世界へと広がらないかしら…と楽しみにしたいことろ。

ちなみに、、、パスクアにはこちらのロザートのスプマンテ『JOLE』を戴きました。2013年のSakura Awardで金賞を受賞しているとか…。すっきりとかなりドライ感がしっかりした味わい。イチゴの香りが満載でした。アンティパストにあわせてついつーいと1本空きました。ごちそうさまでした。
こちらのカンティーナさんでの試飲のアテンドなど、ご質問やリクエストは下のお問い合わせからどうぞ!

2017年4月18日
丹羽淳子

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カンティーナ名 Tenute MURÓLA テヌーテ ムローラ
HP http://www.murola.it
住所 C.da Villamagna, 9 – 62010 Urbisaglia (MC) Italia
問合せ   info@murola.it
電話  (+39)0733 506843
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