マルケ州ワイナリー『Tenute MURÓLA/ テヌーテ ムローラ』へ

マルケ州ワイナリー『Tenute MURÓLA/ テヌーテ ムローラ』へ

 

4月15日、土曜日。
16日がパスクアということで、家族でのランチで戴くワイン購入をもくろみ、ピチェーノにあるカンティーナ『Tenute MURÓLA』に行ってきました。お昼ご飯を食べた後、軽く休憩を取り早めにアンコーナの自宅を出発!が、途中、アウトストラーダ(高速道路)上で車から異音が…。幸い目指していた出口に近い場所だったので、ハザードランプをたきながら料金所外へ移動し前方左車輪がパンクしている事を確認。パートナー汗だくになりながらもスペアタイヤの交換を完了させ、カンティーナを目指し再出発したのが夕方18時前…。どうなることかと不安になりながらも、営業終了時間19時前に少し余裕をもってマチェラータ・Urbisagliaにある彼らのもとに到着し、ワインの試飲を愉しむことができました。

『Tenute MURÓLA』の名前を私が聞いたのは去年にあたる2016年秋。マルケ州とAISが監修するワインガイドで、彼らの『JUREK』が、マルケ州でのメトド・クラシコ製法によるスプマンテとして、州を代表するワインに選定されたのがきっかけです。 最近、このエリアで注目されつつあるぶどう品種”RIBONA”を使い、さわやかさ、キレ、苦みを残しながらも、まろやかな仕上がりのスプマンテ。この『JUREK』、AISイタリアが毎年発行するワインガイドの2017年版でも最高の評価 4 viti AIS を受賞し、フェルモワインでも為しえなかった”Ribona” (現地ではMaceratinoと呼ばれてもいます)品種での最高評価受賞という快挙を成し遂げました。
マルケの多くの造り手はスプマンテを醸造するのには特別な機材が必要なため、ヴェネト州などのスプマンテ生産が盛んなエリアに葡萄を持ち込んで製品化するらしいですが、彼らは自分たちのカンティーナでその機材とノウハウをそろえマルケ州内で製造しているということ。はっきり言って、これはすごい資金力!

資金力のすごさはこの外観からも…。写真の撮り方がいまいちですが、「え、ここはスーパータスカン生産地?」と見まごうかのようなエントランスのアプローチ。
このカンティーナは300年以上前からこの地に続くポーランド系一家が、本業(電気関係のお仕事だとか。恐らくとてつもなく大きな大きな企業)の傍ら、自分たち家族のワインにかける情熱を形にしたものとのことで、事業としてワインの製造・販売を始めたのはまだ最近の事とのこと。なので、見るものすべてが新しく、びっくりするほどモダンでセンスのあるものばかり。

写真左は、受付・精算カウンター奥にある量り売りワインコーナー。こんなにかっこよいあつらえ、みたことありません! 社名板もワインのディスプレイもまるで美術館か?と見まごうような仕様。
 「今日は外国人のお客様がひっきりなしで超疲れた」と言う、販売取引担当のアンナさんに簡単に館内を案内してもらうも、なにもかもどこもかしこもがピッカピカ。「情熱だけで作ったの」なんてことだけでは済まされない、外国人客やインポーターさんにはぐっと印象深くのこるであろう、最高レベルのプレゼンテーションに圧巻されっぱなしでした。試飲スペースだけでも、数カ所あったかしら? こんなに豪勢なカンティーナが近所にあったことに、本当に驚きが隠せません。

 

左は、なんとご先祖様とナポレオンが一緒に描かれたもの。ご先祖様は本職の関係でナポレオン軍の一行と行動を共にしていたらしいです。右側は壁面全面に描かれたワインに関する重要な書籍の背表紙。全く知らない物ばかりでしたが、「有名すぎるものばかりだから、ソムリエのあなた達なら知っている物ばかりよね」と仰っておられました…。イタリア語わからないふりで乗り切る。
そんなこんなで感嘆の辞を述べながら15分程度でざっと館内を見学。
いよいよ試飲の開始です。
このカンティーナでは、有料で、10e:スタンダードタイプ、12e:土着品種タイプ、15e:エレガントタイプ、と3種類の試飲コースが用意されており、私たちは悩んだあげく、土着品種タイプを選択しました。

VITIGE』Verdecchio di Matelica D.O.C.G 2015
香りはメロンやパイナップルのちょっと熟れた南国フルーツの雰囲気もあり、さわやか感あり。口に含んだ瞬間、華やかさが広がるが、ヴェルデッキオの骨太感はあまりなく、かなりまろやか。もともと、この地が海だったということで土壌にはミネラル分がたっぷりと含まれており、ワインもミネラル感があふれることが多いけど、このVITIGEはミネラル感もかなり抑えめ。飲み始めから最後の余韻まで、控えめなミネラル感の主張を感じるコンパクトに綺麗にまとまっていました。

 

AGAR』COLLI MACERATESI DOC RIBONA 2015
初めてか、、、それとも前に飲んだことがあるか?マルケ州の土着品種”RIBONA”リボーナ。みずみずしく白い花の香りを強く感じます。味わいは、おおお、苦い。いや、苦みがふわふわしている感じ。ほとばしる苦みではなく、口の中にぼわっと広がる苦みが感じられます。飲み口は軽やかですが、この苦みは夏にキンキンに冷やしてちょっと脂身のある魚のマリネ料理なんかと一緒に戴きたい。ミネラル感と、あと、すこし草的な青い感じも。裏をかかないシンプルさが特徴的。パートナー的には「かなり良い感じでできているRIBONA」とのこと。


ORBESALLIA』Rosso Piceno DOC 2015
試飲最後のROSSO PICENOはモンテプルチアーノとサンジョベーゼ。色はきれいなルビー色で、縁は少し褐色した感じ。味わいにはかなり若々しさを感じるフレッシュなインパクトがありながらも、最後はきれいにタンニンが広がります。モンテプルチアーノの持つブルーベリーやブラックベリーの甘重いフルーツ感はサラリと集約されている感じ。ガッツリお肉料理に、というより、お肉を使ったパスタ料理やラザニアなんかに良く合いそうな味わいでした。

テイスティングのおともに、と提供戴いたサラミ類とチーズ。「豚は私たちが飼っているの。彼らの肉を使って作っているものなの。保存料を使っていないからすぐ変色しちゃうけど、味は良いわよ」とアンナさん。
そう、、、イタリアのワイナリーで試飲をする場合、有償なら必ずと言ってよいほどサーブされるこの「おつまみセット」。日本でならこの一皿だけで数千円はするんじゃないか?とう代物。二種類のハム、チーズと山盛りでしたが、素晴らしい味わいにもちろん完食…。そう、このハムがRosso Picenoに良く合いました。

余談ですが、テイスティングを終えた後ワインを数本購入したら、ワインテイスティング費用二人分はサービスしてくださいました。驚き!もちろん、浮いたお金でもう2本『JUREK』を購入したのは言うまでもありません。

私たちがテイスティングを行った部屋は、ゆったりとした応接室スタイルで、室内には、彼らの家族の歴史を物語る写真が何枚か展示されていました。
設立にファミリーの5人が代表になっているとか。多いですよね兄弟や親族で世襲しているパターン。もめないのかな?なんてゴシップ想像をすぐにしてしまいます。
お恥ずかしい話しですが、この『Tenute MURÓLA』のワイン、日本にいるときに拝見したことは無かったのですが、デイリーユースな価格帯のワインは輸入されているようですね。モンテプルチアーノ100%の『TEODRO』2016年のSakura Awardも受賞していました。
私としては、マルケ州のワインづくりの力を世界中に知ってもらうためにも、彼らのつくるメトドクラシコ製法のスプマンテ『JUREK』が、早く全世界へと広がらないかしら…と楽しみにしたいことろ。

ちなみに、、、パスクアにはこちらのロザートのスプマンテ『JOLE』を戴きました。2013年のSakura Awardで金賞を受賞しているとか…。すっきりとかなりドライ感がしっかりした味わい。イチゴの香りが満載でした。アンティパストにあわせてついつーいと1本空きました。ごちそうさまでした。
こちらのカンティーナさんでの試飲のアテンドなど、ご質問やリクエストは下のお問い合わせからどうぞ!

2017年4月18日
丹羽淳子

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カンティーナ名 Tenute MURÓLA テヌーテ ムローラ
HP http://www.murola.it
住所 C.da Villamagna, 9 – 62010 Urbisaglia (MC) Italia
問合せ   info@murola.it
電話  (+39)0733 506843
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