2018年9月の初旬、日本からのお客様のアテンドとしていくつかのカンティーナを訪れる機会を戴いた。
日本でエノロゴ(醸造家)的な役割を果たしていらっしゃる方からのリサーチ対象としてのカンティーナ訪問であったため、個性的な生産者に会うことが出来た。訪問時は通訳と紹介に120%神経を集中していたため、残念ながら写真はどこのカンティーナでも殆ど撮れなかったが、興味深い経験のいくつかとして訪れたカンティーナの概要や様子を書き留めておこうと思う。

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カンティーナ名:Vini di Giulia(ヴィーニ ディ ジュリア) /Azienda Oliviticola Giulia Fiolentini(アジエンダ オリヴィティコラ ジュリア フィオレンティーに)
州、エリア:Cupramontana nelle Marche (マルケ州クプラモンターナエリア)
お話しを聞いた方:Giulia Fiolentini(ジュリア フィオレンティーニ)
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私自身も初めて聞く名前のカンティーナ。今回の旅のクライアントに当たる方が、知り合いに勧められた場所で、訪問のアポイントを取るにもなかなか先方の予定が確定できず、訪問時の朝にすべてが決まった状態だった。
それもそのはず、このカンティーナは一人の女性によって営まられているのだ。
畑の面積は3ha。ヴェルディッキオ、モンテプルチアーノ、サンジョヴェーゼ、メルローを栽培し、年間で平均5千本を生産する小さなカンティーナだ。

経営者であり、ワイン製造責任者であるGiuliaは、私達とのアポイントのために、わざわざ畑仕事の手を止めてカンティーナまで戻ってきてくれた。
そう、私達が訪れたのは9月初旬。マルケ州では白ブドウの収穫がまさに始まったばかりのタイミングで、生産者にとっては最も忙しく、また最も神経を使うときなのである。そんな貴重な時期に、日本からの研究者の訪問だからとわざわざ時間を作ってくれた彼女には本当に感謝の念しか無い。

時間がない中、BIO法に則ったぶどう畑や、製造方法の肝となるかもしの工程、野生酵母の発生過程などを見せてもらった。畑の下草(雑草)は刈り込みはするものの、抜き取る作業はしない。また、ブドウの木の先(蔓状になる)も何もせずにそのまま放置する。そう、ブドウの木が持つ力をできるだけ引き出すことをできるように、なるだけナチュラルな状態にとどめているのだ。
ワイン発酵に必要な酵母菌についても、多くの生産者は購入したものを利用しているが、彼女は畑から積み込んだブドウに付着した野生酵母を自ら培養させている。1970年頃までは主流の作り方だが、酵母の発生具合や出来具合によって味が安定しなくなる恐れがあるため、この手法は今ではほとんど使われなくなっている。でも、彼女にとって”自然なワイン”を作るには、畑で”出来た”ものを利用することが必然なのである。

 

Giulia一人で畑の管理をし、ワイン造りを行っているので、もちろん生産本数もまだまだ少ない。ただ、メトドクラシコのスプマンテ1種類、ロザート1種類、白2種類、赤1種類と作り分けているところから、マーケティングもしっかりと考えられていることが見て取れる。
スプマンテ、赤のBenedetto、白のIl Gentileを購入し自宅で戴いたが、どれも良い意味で期待を裏切る味わいだった。まだまだ荒削りな感じは否めないが、ワインの味の中に、ぶどう自身の力強いパワーを静かに感じ、そう”滋味深い”という表現がピッタリな感じだった。
Il Gentileはリンゴやグレープフルーツを感じる酸味があり、まさにVerdicchioの若さを存分に楽しめた。

https://www.instagram.com/p/Bn0SgglFaZ8/?hl=ja&taken-by=amaregiappone.atsuko.niwa

彼女が言うには、どのワインも製造工程で空気との接触をある程度、持たせている。自然発酵を経てからの熟成ということで、新鮮さが魅力となる白ワインでもステンレスタンク内で1年以上寝かすらしい。有効に空気と接触させることによって、長期間の熟成に耐えることができるようになるらしい。ワインを知る人にとっては、”酸化”はワインを悪くするので興味深い発言に取られると思う。”酸化”に慣れたワインは、酸化知らず、とのことだ。

ミラノ育ちのGiuliaが作るマルケ州のワイン。市場にもそれほど知られておらず、まだ30歳代前半(若い!)彼女にとってはスタート地点に違いないが、どんな素晴らしいワインを作り出してくれるのか楽しみでならない生産者の一人である。
http://www.digiulia.it

Grazie a Giulia, Hai un grande cuore!

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