マルケ州にカンティーナ(ワイナリー)はいくつあるのでしょうか。200は軽く超えていることは確かで、企業化していないところも多くあるのでおそらく300はくだらないのでしょうね。
まだまだ訪れるべきカンティーナがあります。幸せな限り。
この土曜日に家から車で40分、アンコーナ県Serra de’ Conti にあるCasal Farnetoに 伺ってきました。CasalFalnetoはJesiがDOCになる、Verdicchio di Castelli d’ Jesiの生産者として有名でその個性的なワインは数々の賞を受賞しています。それだけに期待満々。今回は私が所属するAIS Marcheが主催するカンティーナ訪問と試飲会で、50人を超える参加者の方と一緒に約3時間。長かったけど素晴らしい経験になりました。でも説明が早すぎて途中わからなかったところも多々ありましたので、再訪を心に誓った次第です(汗)。

”CasalFarneto社”としての企業としての歴史は浅く、1995年。その後、オーナー会社となる GRUPPO TOGNI社が60haの畑とともに買収し今に至ります。GRUPPO TOGNI社とは、この辺りで非常に有名でお金持ち(私の主人談)な企業、Flasassi (フラサッシ)ブランド、Gocciablu(ゴッチャブルー)ブランドなどを製造販売するミネラルウォーターメーカーなのです。 
なるほど、、、農業会社を買収してここまで立派なカンティーナに仕立て上げたことにも納得です。これだけ一気に育て上げるには経験や技だけではなく、資本力が欠かせませんものね。
ただ、彼らの優れていたところは、他のカンティーナと違って全てをオートメーション化することに徹したこと。正確に彼らが理想とする美味しいワインを、無駄なく生産することに成功し、ブランドの確立と今の成功があると言えます。これほどにオートメーション化を進めているカンティーナはおそらくマルケ州では数少ないと思われます。
ワインの生産量は年間で約80万本。その多くは輸出用で主な輸出国はアメリカ、カナダ、日本。日本で彼らのワインを見かけられた方、召し上がられた方も多いのではないでしょうか?上の写真に見えるように、すぐ下がワインを生産する工場(カンティーナ)となり、その先に見える建物がワインの販売やお客様をもてなす建物になり、その向こう側には畑が広がります。

まずは畑の見学。北に向いた畑になります。上の写真は植わって2年目のぶどうの木、下の写真は今年で50歳を迎える木になります。50歳のぶどうの木は、もう最高級のぶどうが出来ることはなく、今は樹齢20年を迎えるぶどうの木達が主となってワインの原料となっているそうです。彼らのワイン製造は今流行りのBIO(有機栽培)に近い方法で行われていますが、正式に認証を受けるまでには至っていないそうです。ただ酸化防止剤の添加に関しても、標準の1/3量ほどしか使っておらず、ほぼBIOワインと言っても良いほど、とのこと。ちなみに有機栽培しているぶどうもあり、それに関しては畑の持ち主は彼らではなく借り上げた土地を使った上で栽培しています。農家さんが作ったぶどうを買い上げたり、BIOワインとして他社が製造したものに自社のワインラベルを貼る場合などもありますので、この辺りの違いを知っておくとカンティーナのワイン造りへの姿勢もよく伺い知れます。

こちら、運動場のような感じですがカンティーナ(ワイン工場)の天井部分です。多くのカンティーナはこの様に丘陵地に穴を掘る形で作られています。こうすることによって「地下室」効果が発揮され適温を維持しやすくなるからです。彼らのカンティーナも最低で14度、最高でも20度程度とワインづくりに適した温度が保てていると言っていました。

彼らのワイン造りで特徴的なのはオートメーション化されていることの他にもう一つ、徹底的に「酸化を防止」していることになります。多くのカンティーナでワインの酸化についての取り組みの話を聞きました。ピエモンテのとあるワイナリーではぶどうやモスト(ワインになるぶどう果汁)をできるだけ酸素と触れさせることで、”酸化”に耐性を持つワインを生産していて興味深かったことを思い出します。そう、CasalFalnetoはその全く反対の思想を持っていて「酸素に触れることは劣化への一歩」とし、徹底的にモストが酸素と交わることを阻止しています。
このステンレスの桶は収穫してきたぶどうをソフトプレスする機械へと送り込む入り口にあたるのですが、2本の筒が上部についているのが見て取れると思います。これは二酸化炭素(ドライアイス)の排出口で、二酸化炭素は酸素より重いため桶内に溜まったぶどうの上に振りかけることによって空気中の酸素とぶどうの実が接触することを防止することができるのです。すごい…。しかも、このソフトプレスする機械は大型なものが2台あり白ワインと赤ワインで分けているのだとか。

こちらがカンティーナ内部。すばらしい。非常に美しいです。そして本当にハイテク。80万本も製造している会社ですがここまでハイテク化されていたら従業員の数はかなり少なくできますね。。。なんて経済効果も実感。
このステンレスタンクにてモストを入れて発酵させたり、かもしを行ったりするのですが、この後ろ側に見える管はコンピューター制御されていて、行き先(樽)の選別や樽に入るまでのモストの温度変更などを行うことができるのです。

こちらが数十台あるステンレスタンクを管理するホストコンピューター。樽内の温度はもちろん、温度の上げ下げのために使う湯音の管理がここで一目瞭然です。時代はどんどん進化していますよね…。世界的なマーケットの視点から言うと、品質を下げずに生産量を保つためには必要な手立てだと実感しました。

これはピエルサンティ社でみたフィルター機。。。マルケ州では一社しか導入していないと聞いたがここにもあったか!
カンティーナの中で最もワインを感じる木樽置き場。Danilo氏の軽快な説明を真剣に聞く我々

225lの木樽、500l、そして大樽と作るワインによって使い方やその時期を考えて使い分けます。女性の後ろに見える大樽は内部を焼いていないので、木材独特な自然な風味とゆるやかな熟成ができ、下においてある木樽に関しては内部を焼いてあるためより木の匂い(ヴァニラ香)を強くつけることが出来ます。

約2時間弱に及ぶカンティーナ見学が終了しました。
この見学を全て仕切ってくださったのが、Enologo(醸造学者)でありAgronomoと呼ばれる農学者であるDanilo氏 (上の写真にいらっしゃる大柄な男性です)。すごいスピードで、びっくりするほどの情報量を私達に披露してくださいました。ご自身たちのワイン造りへの取り組みや、お客様を歓待する姿勢がよく理解できます。
さて、その後はやっとで待ちに待った試飲の時間。

4種類のVerdicchio 種のワインと、特に2種のVermouth ヴェルモットのお味見です。
Verdicchio は全て同じ畑の同じ品種のぶどうのはずなのに、味わいが本当にしっかりと違う。
フレッシュ感がある FONTEVECCHIA  Verdicchio dei Castelli di Jesi DOC Classico Superiore
まろやかさと余韻がある  GRANCASALE  Verdicchio dei Castelli di Jesi DOC Classico Superiore
最初にあるヴァニラ感のニュアンスが素晴らしい  CRISIO  Castelli di Jesi Verdicchio Riserva DOCG Classico
そして貴腐菌から来るふんわりとした甘さが美しい CIMAIO  Marche IGT Bianco

これは面白い!
ソムリエとしてワインを経験的に数多く召し上がっていない方でも、この違いは理解しやすく、またご自身の好きな味というのをちゃんと認識できること間違いなし。

Vermouthはワインを使って作ったリキュールで、食後酒やアペタイザーのベースとして使われます。
これも美味しかった。。。食後酒はアルコール感がきついので好んで戴かないのですが、こちらのヴェルモットはとても飲みやすく、食後酒を飲み慣れていない方でも受け入れられそうです。

秋の時期の畑の様子。霧が一面に立ち込めこの効果で「かび(貴腐菌)」がぶどうに付着する
貴腐菌がついたVerdicchio。収穫は11月中旬から12月中旬にまでずれこむ

お客様を歓待するためにこんなにも素晴らしい場所を作った同社。この写真に写っている男性がオーナーのPaolo氏。今はこの近隣エリアの観光地とも提携していらっしゃったお客様をお迎えする準備をしているのだとか。
これは私自身もとても楽しみ。
この辺りは内陸部なので、それぞれのエリアで個性的で特徴的な生活ぶりが見て取れます。

ぜひ、マルケ州にいらっしゃる際は一緒にこちらのカンティーナに訪問いたしましょう!
お問い合わせをお待ちしています!

素晴らしい景色が楽しめる。おしゃれ。

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カンティーナ名 Cantina CasalFalneto(カザルファルネート)
HP  https://www.casalfarneto.it/
住所  via Farneto n.12
60030 Serra dè Conti
(Ancona) – Italia
問合せ   https://www.casalfarneto.it/contatti/
電話   +39 0731 889001
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