カンティーナ訪問記:PIERSANTI社

カンティーナ訪問記:PIERSANTI社

暖かな水曜日の午後に、マルケ州友達の日本人ソムリエールさんからお電話を戴きました。その内容はと言うと、知り合いのカンティーナ伝いで、日本人の方が訪問される、Jesi、サンパウロ(San Paolo)エリアにあるカンティーナで通訳アテンドを受けれないか?とのこと。
連絡を受けたお友達は急すぎて都合が付けれず、急遽ピンチヒッターで伺わせていただいてきました~!

訪問されるワイナリーはPIERSANTI社さん。
初めて聞くお名前です。マルケ州には商業登記しているカンティーナだけでもその数250以上。まだまだ見たことも聞いたことも味わったこともないカンティーナがたくさんあります。

その日の予定はと言うと、朝10時にカンティーナの現オーナーOttavio(オッタヴィオ)氏が、我が家近くの商業施設まで車で迎えに来てくれて、車でアンコーナ方面まで日本人のお客様をお迎えに上がりその後カンティーナへ。残念がら私の予定がお昼までしか都合がつかず、12時半にはカンティーナを後にしなくてはいけない状態で、「いらっしゃるお客様のご要望次第で、なかなかハードな時間構成になるかもな」と少し緊張しつつまだ見ぬOttavio氏を待ち合わせ場所で待つこと15分。
・・・来ない。
予想通りと言ってはなんだが、来ない。
焦ってもしょうがない。ここはイタリア。恐る恐る聞いていた彼の携帯電話にコールしてみると、なんと近所にある別の商業施設に到着しているとのこと。
名前も教えて住所も確認したのに。
別のコムーネ(街)にある、全く違う名前の商業施設に行っちゃうなんて、ほんとイタリア人ですよね。

なんとかOttavio氏と出会うことが出来、無事に日本のお客様との待ち合わせにも遅れずに到着。
PIERSANTI社、最近のカンティーナには珍しく英語を流暢に話せる人がいない模様。彼らが少しだけ話す英語は完全なイタリア英語で、私達日本人からすると英語とは全く別の言語に聞こえる代物で、このご担当者の方も今回の会談での「会話」については心配されていたとか。
ですので、日本人の登場という予期せぬ出来事に、少し胸を撫で下ろされていたようです。

PIERSANTI社は、アンコーナ中心地から車で30分程度、Cupramontana エリアにある比較的大規模な生産量を誇る生産者です。私の聞き間違えで無いなら、年間の生産本数は400万本。今回訪れたカンティーナではVerdicchio(ヴェルディッキオ)を中心とした白のスティルワインを製造していて、あと、Anconaチェントロ近くに赤のスティルワインを製造する工場、スプマンテに関してはCupramontana内の他の工場で製造しているとのこと。
サイトにも書いてありますが、「値段」と「品質」のバランスが良い商品づくりを得意としていて、高級ラインではなく、日常で飲まれるデイリーワインの生産に特化しているようです。

澱を取り清澄したワイン

Ottavioの案内で工場見学。今は2019年Vintage(アンナータ)のワインの製造真っ最中。2019年は春先から夏にかけての天候が不順で、収穫量は少し少なめだとか。2018年は大収穫で生産量が大幅にUPした後すぐにこの状態。2020年については、この冬の異様な暖かさによって、作高は不明瞭だとか。
自然相手なので、全てが思い通りにいかないのは当たり前なのでしょうが、世界的な需要も高まっている中、予定した生産量を作ることがどれだけ大変でプレッシャーがかかることなのか、と考えるとちょっと怖い様な気もします。
PIERSANTI社は他の多くのカンティーナと同じく家族経営の会社。Ottavio氏のお父さん、Carlo氏が会社として創業し、今は二人の息子が継いでいます。働いている人も親族が多く、見学中にはCarlo氏もやってきて和気あいあいとなりました。

ちなみに、上の写真2つは澱の抽出機だそうで、特に2枚めの写真の機械はマルケ州では彼らしか持っていない代物だそうです。液体が管の中をすごい速さで駆け巡り、その間にフィルターが液体を濾過していくのだとか。
1枚目の写真はかなりボケていてすみません。モスト内に残った澱部分(グラス左側)と、清澄済みのモスと(グラス右側)になります。
均等に美味しく、しかも安全なワインを世界に送り出すために、色々とたゆまぬ企業努力をされているのだなぁ、と実感しました。

さて、お待ちかねのテイスティングの時間です。
最初は彼らの原点とも言えるPasserinaのSupmanteから。
PasserinaのSupmanteは、軽めであまり私の好みではないのですが、彼らのPasserinaは酸味が濃くて良い感じ。もともと、70年前にSupmanteの瓶詰め業から会社は始まったらしいのですが、興味深いですよね。なぜなのかは聞き逃しましたが・・・。このエリアでSupmanteの生産とは珍しいです。
本来ならテイスティングはお仕事のときはお断りするのですが、今回はなんと「原酒」となるワインモストの掛け合わせを体験させてくださるとのことで、図々しくも少しだけお味見させていただきました。
詳しくは企業秘密ですが、かなり興味深い内容です。
おそらく他のカンティーナではこんな経験はできません。

味の比較。小さな違いでも大きな差を生み出すのに驚き

あっという間に時間となり、私は一足先に皆さんとお別れさせてもらい家路へ。
Ottavio氏の従姉妹にあたるGiovannaに車で自宅まで送ってもらい、お土産もどどんとワイン1ケース!
彼らのチェントゥーノ ペルチェントシリーズのVerdicchio Classico Superiore DOC。
2019年のサクラアワードで、金賞を受賞している素晴らしいワイン。

日本でのPIERANTI社のワインの購入は下記サイトで可能ですよ。

ぜひ、2020サクラアワードも現在選考中とのこと。
今年もぜひ金賞で乾杯したいものですね。

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カンティーナ名 PIERANTI ピエルサンティ
HP  https://www.piersantivini.com/
住所  Via Borgo S. Maria, 60
60038 S. Paolo di Jesi (AN)
問合せ  info@piersanti.com
電話   +39 0731 703214
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